第17章 ハピファミ!17
「っ……まゆら、ちゃん」
「なぁに?わたるちゃん」
震えながら呟けば、聞こえたワタシの名前を呼んでくれる声に、たまらず嗚咽がもれた。
いやだ、手放したくない、はなれないで、奪わないで、そばにいて。
まゆらちゃん、まゆらちゃん、まゆらちゃん、まゆらちゃん。
「……ひっ、ひとりに、しないでっ」
「っ……大丈夫よ。絶対に、わたるちゃんを独りになんてしない。嫌って言っても、ウンザリしたって、わたるちゃんの傍にいるからね」
「うっん……」
「だから、わたるちゃんも、ずっと私の傍にいてね」
「ん、ん……まゆら、ちゃん」
「なーに?」
「だいすき」
「私も、わたるちゃんが大好きよ」
いつもの口調で温度で声色で答えて、珍しく強く抱きしめ返してくれたまゆらちゃんの肩に顔を埋めたまま。
どっと押し寄せてきた疲れと安心に身をゆだね、とろりとした眠りの渦に意識を沈めた。
「わたるちゃんに、呼び捨てにされるの初めてだな…………ちょっとドキドキしちゃった」
そう言って、涙でぐちゃぐちゃの顔をさらすワタシの髪を優しくなでるまゆらちゃんの頬が。
照れたように嬉しそうに、ほんのり赤く染まっていたなんて。
余裕も何もなく眠ってしまったワタシ以外いなかったその場において、誰も知る者はいなかった。
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