第17章 ハピファミ!17
「わたるちゃあん!って、ちょっと、うづし夫ジャマよ!」
「ってぇな!何すんだ、胸もむぞコラ!」
「うづし夫、邪魔だ。わたる、新作カクテルの味見してみるか?」
「邪魔はテメーだ岡内、引っこんでろ」
「後片付け面倒なので、皆さん暴れるなら外でやってくださいね」
もしくは、ワタシが帰った後にしてください。にっこり笑顔で言ったら、三人揃って慌てて頷いてくれた。
珍しく素直だが、何故かエナさんも岡内くんもうづさんも顔色が青白く見える。
どうしたのか首を傾げて、自分が持っていたモップの柄にひびが入ってしまったことに気づいた。
いけない……力加減を間違えて店の備品を壊してしまった…。
「あー……給料から引かれちゃいますかね?」
「自己申告しなけりゃ、大丈夫だろ。酔っぱらいのせいにでもしとけって」
「アンタ、悪知恵だけはよく働くわね。それより、わたるちゃん怪我してなぁい?」
「ありがとう。大丈夫ですよ、エナさん」
「じゃあ、さっさとソレ片付けてこい。その間にカクテル用意しといてやる」
そんな男前な言葉に甘えて、「俺はわたるに言ったんだ」と苦い顔をする岡内くんのカクテルをみんなで飲んで。
ああでもない、こうでもない、必要のない文句を楽しそうにつけるうづさんと言い返す岡内くん、それからワタシに可愛く甘えてくるエナさんを眺めながら。
ここにまゆらちゃんが居たら、もっと楽しいかもしれない……なんて思ったりした。