第3章 ハピファミ3!
【幼少期3】□ふたつずつより、ひとつずつ■
親子、兄弟、姉妹。
親というものは、幼い子供におそろいの服を着せたがるもので。
双子である「ワタシ」と「まゆらちゃん」がそのターゲットになるのはもう、運命的な必然であった。
ただ幸いなことに、ワタシたちの母親はそれなりにセンスの良い人物だったので。
内心渋りながらも嬉しそうなまゆらちゃんの笑顔に免じて、素直に受け入れていた。
―――が、しかしだ。
双子のまゆらちゃんとワタシは、当然ながらそっくりの容姿。
おそろいの顔におそろいの髪型。
おそろいの服におそろいの靴。
見事におそろいづくし。
ここまで同じだと、やはり誰もがワタシとまゆらちゃんを間違える。
面白いほどによく間違える。
そこでワタシは考えた。
それぞれの個性をしっかり確立させて。
今のうちからもう、ワタシとまゆらちゃんは別々の人間なのだとはっきりさせようじゃないか。
お互いの将来のためにも、その方がいい。
愛するまゆらちゃんの為、そして愛するまゆらちゃんとずっと共にいる為。
ぜんはいそげ!なのだ。
あ、漢字がわからない。
勉強不足だな。
「まゆらちゃん、まゆらちゃん」
「なーに?わたるちゃん」
「まゆらちゃんは、どんなお洋服が好き?」
「んーと、えーっとね……まゆら、かわいいおようふくがスキ!」
「そっか、カワイイお洋服ね」
「うん!」
まゆらちゃんは、カワイイ洋服が好き。
だったら、ワタシは。
「ワタシは、カッコイイお洋服が好きだな」
「わたるちゃんは、かっこいいおようふくがスキなの?」
「うん」
「そうなんだぁ。じゃあこんど、おかいものにいくとき、まゆらがかっこいいおようふく、えらんであげるね」
「うん。だったら、ワタシはまゆらちゃんにカワイイお洋服を選ぶね」
「えへへー。えらびっこだね!」
【個性を確立させよう計画】第一段階は、違う系統の格好をすること。