第13章 ハピファミ!13
【青年期3】□■時は金に継続は力に、なったりならなかったりする現実■□
給料ドロボーのうずしおは、渦潮であり、うづし夫である。
とりあえず皆さんが「うづし夫」と呼んでいるので、ワタシもそう呼ぶことにしてから早くも数ヶ月が経過した。
出会った当初よりは話もするようになったし、それほど悪い奴というわけでもないことがわかったが、決して良い奴でもない。
昔からまゆらちゃんにも話をしていた岡内くんや女性のエナさんは紹介したいけれど、うづし夫には会わせたくない。
彼はきっと……いや必ずまゆらちゃんのことをからかおうとするだろうし、普段は可愛いまゆらちゃんだがあれでなかなか気の強いところがある。
きっと一騒動おこるに違いない。
いや、確実に起こる。
まずは、まゆらちゃんにちょっかいを出したところで、本人よりも先にワタシが奴に手や足を出してしまう。
こればかりはどうにもならない、避けることのできない問題だ。
ワタシの中の最優先は、愛するまゆらちゃんなのだから。
「あら、わたるじゃない。聞いてはいたけど、本当にここで働いてたのね」
「え、あ……キワコさん!?」
落ち着いた女性の声に呼ばれて振り返れば、懐かしい顔を見た。
学生時代に出会った、まゆらちゃんの友人、キワコさん。
ワタシとは互いの都合が合わないこともあり、さほど親しくしていた覚えもないのだが。
昔から大人っぽくて、同じようにまゆらちゃんを大切にしてくれたことから、たびたび彼女にはお世話になっていた。
とくに、まゆらちゃんの虫避け……とか。
なによりキワコさん自身が迫力美人だということもあり、記憶に印象強く残っている。
おまけに抜群のスタイルの持ち主で、まさに「ボンキュッボン」を体現しているのである。
まゆらちゃんだってスタイルはかなり良いのだが、キワコさんの場合は欧米人並みだ。
ワタシのまゆらちゃんとは、タイプが違う。