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【ハッピー・ファミリー】ハピファミ!

第7章 ハピファミ!7


【少女期2】□■幸せの青い鳥は自由に空をとぶ□■



まゆらちゃんが、家庭科クラブに入った。

おしゃれが好きなまゆらちゃん、料理に興味のあるまゆらちゃん。
彼女はきっと良いお嫁さんになることだろう。
ああ、そんな日こなけりゃいい……なんて思うワタシは、かなり根深いシスコンと化してしまっているらしい。
どうしようもないワタシだが、愛するまゆらちゃんの道を塞ぐつもりは全くない。


「帰りがおそくなるから、わたるちゃん、先に帰ってていいよ」


申し訳なさそうに言い出すまゆらちゃんの優しさにむしろ感激して、はじめのうちは一人で静かに下校し一人でぼーっと過ごしていたのだが、三日で耐えられなくなった。
まゆらちゃんの声がしない家の中は他の誰がいようとも寂しくて、彼女の笑顔が隣にないことが酷くつまらなく感じた。

本を読もうとしても集中できず、だったらいっそのこと自分もなにか習い事でもしてみようかと思い母親に提案してみると、何故か困ったように眉を下げて心配された。
そういえば、いまだ病弱のレッテルが剥がれていないことを思い出す。

体育の授業を休みがちだったのに加えて、水泳を全て仮病でサボッたことが原因のようだ。
これは自業自得というやつだな。
しかし、こんなことであっさり引き下がるワタシではない。


「弱いから、少しでも体を鍛えたいんです」


必死さを出すために顔の前で手を組んでアピールしたら、一日ほど悩まれてから諦めたように許可が下りた。
しかしこの発言のせいで、習い事は運動系に決まってしまった。さあ、どうする。
団体競技の類はチームワークが大切、今のところ愛するまゆらちゃん以外の人間に興味が向かないワタシには、まったく向いていない気がする。となると………………そうだ。
まさに体を鍛えるものにすればいい。

―――というワケで、個人経営の武道場に通うことにした。

修練中はなかなかに厳しいが、休憩時には優しい笑みでお茶とまったりした時間をくれる、なかなか良い師がその武道場にはいた。
いかにも古めかしい木造の武道場のすぐ隣りには、師の住んでいるこれまた立派な木造の屋敷がある。
武道場と屋敷は中庭で繋がっており、四方に開け放たれている扉からは心癒される緑が見える。

一時間に一度の休憩時間。
まだまだ簡単な基礎ばかりとはいえ、厳しい練習に疲れた末の……だ。
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