第6章 ハピファミ!6
それにしても愛するワタシたちを引き裂くとは、神様とやらがいるとしたらきっとドSに違いない。
願っても一緒になることは叶わない、二人はまるでロミオとジュリエット。
ああ、なんて悲しい運命なのでしょう………………うん、いまいちだな、改めてもう一度。
ああ、なんと悲しく切なき運命の悪戯………………あまり変わらなかった、どうもワタシに詩的才能はないようだ。
本を読むのは好きなのだけれど、いまひとつ身についていないらしい。
そもそも雑食だし。
というかよく考えれば、同じ年の兄弟姉妹を同じクラスにしないよう配慮されているのは当たり前だった。
一年生のときは入学したばかりということもあって、特別な待遇だったのだろう。
まゆらちゃんと別々のクラスになってから、教室で過ごすことが酷くつまらなく感じた。
ワタシの中心は今のところまゆらちゃんで、いちばん大切な人もまゆらちゃん。
依存しすぎるのはよくないとわかっていても、他のなにかを見つけられないのだからどうしようもない。
自然とクラスでの口数は減り、授業時間をのぞいたほとんどの時間を図書室で過ごすようになった。
本はいくらでも読み放題だし、他の場所と比べて静かだし、司書の先生と親しくなってからは新しく入る蔵書をリクエストできるようになったし……と、実に快適な場所である。
クラスが別れてから新しい友人がぞくぞく増えていったまゆらちゃんの様子を、嬉しくも寂しく感じながら家路を一人静かに辿るようになる―――なんてことはなかった。
愛するまゆらちゃんはどれだけ友人が増えようとも、ワタシと登下校を共にしてくれたのだ。
その優しき心と行動は、ときおりワタシの涙腺をじわり刺激する。
ああ、ほら。今日もまた。
「失礼しまーす」
図書室の隅っこで、一人本を読み続けているワタシを迎えに来る声。
「わたるちゃん、おまたせ」
「……まゆらちゃん」
「じゃあ、帰ろう?」
「ハイ、帰りましょう」
迎えに来てくれたときの、空気がふんわりするやわらかい笑顔。
まゆらちゃんのこの顔が見られるなら、ワタシはきっと何時間でも待ち続けられるだろう。