第12章 君に素直になる方法
side 黒尾 鉄朗
和奏と木兎は、あれから上手くいったのだろうか。
梟谷を訪ねて1週間経つが、どちらからも連絡はない。
まぁ、ラブラブアピールのノロケ話なんて聞きたくもないけど。
なら、2人の事ばかり考えてんじゃねぇよ。
そう自分にツッコミを入れてみるけど…。
あの日、俺の腕の中で泣いていた和奏が忘れられない。
泣いてる和奏を慰めながら、優しく抱くところを何度妄想したか…。
って、俺は童貞の中学生か!!
しかも、妄想相手が友達の彼女とか…笑えねぇ。
でも、今日はマジでそんな妄想は封印だ。
「クロ…さっきから、1人で百面相気持ち悪いんだけど。」
研磨が呆れた様子でこちらを見てくる。
エスパー並みに考えている事を読み取られてると思い出して、内心かなり焦った。
「うるせぇよ。」
そうだ。
研磨も居るし、今日はこんな妄想は完全に封印だ。
だって…今日は梟谷との練習試合だから。
1週間ぶりに足を踏み入れる梟谷に、1人で勝手に緊張感を高めている。
和奏は譲ったけど、バレーでは負けらんねぇ。
「そんな事、考えてる時点でダサいよね。」
「研磨…人の心を読むんじゃねぇ。」
「オレだって、幼馴染のそんな青春みたいな葛藤知りたくないし。もっと分かりづらくなりなよ。」
どうすりゃ、この問題が解決するのか見当もつかねぇ。