第11章 自分に素直になる方法
木兎さんから着信があったのは、それから1時間くらい経ってからだった。
「死ぬほど反省させて、和奏の所に謝りに来さすから…そしたら、許してやって。」
黒尾先輩の先程の言葉を思い出す。
別に木兎さんに対して、死ぬほどの反省など望んでいない。
けど…会って話さなくてはならないだろう。
通話ボタンを押して、いつもの公園で待っていて欲しいという事だけ手短に伝えて、電話を切った。
公園に着くと、ベンチの近くで立ったまま待っている木兎さんが、こちらに向かってガバッと頭を下げた。
「和奏ちゃん、本当にごめん!!」
その謝り方が、想像していたよりずっと木兎さんらしくて、場の空気も読まずに笑いが漏れてしまう。
「木兎さん、顔上げてください。」
ゆっくりと顔を上げた木兎さんが、私の目を見ながら謝罪を続けた。
「本当にごめん。こんなつもりじゃ無かったって言うか…俺の意思が弱かっただけで…何言っても言い訳にしかならないだろうけど。でも、本当に大好きで大切にしたいと思ってるのは和奏ちゃんだけなんだ。」
真剣な木兎さんの瞳。
きっとこの言葉に嘘はないのだろう。
例え、この言葉に嘘があったとしたって…今後、私の事をこれほど思ってくれる人はもう現れないかもしれない。
でも…気付いてしまったから…。
私が欲しいのはそんなものじゃないんだと。