第1章 小さな嘘の始め方
「そろそろ、いいだろ。そのまま上乗って入れて。」
えっ…。
当たり前のように言い放つ黒尾先輩に少し固まる。
上に…と言っただろうか?
私が上という事…だろう。
いや、知っている。そういう方法があることは。
でも…でも…。
先輩、私初めてなんです!
言いかけた言葉を飲み込んだのは、黒尾先輩の先程言った「今度」の約束が無くなるのが嫌だったから。
黒尾先輩に跨り、自分で黒尾先輩のものをあてがう。
ゆっくりと腰を下ろしていく。
流石に痛い。
「んっ…」
途中で止まりそうになるが、黒尾先輩の感じてくれている表情を確認して、一気に押し進める。
い…たい…。
けど、心配してた出血は無さそうだ。
痛がりさえしなければ、処女だとバレないはず!
「黒尾…先輩。気持ちいいですかー?」
先輩の口から気持ちいいと聞き出せたら、頑張れそうな気がする。
「遊んで…そうなくせに、何でこんなにキツキツなんだよ。反則だろ。ゆっくり動いて。」
褒められてるのか、けなされているのかもわからないが、どうやら気持ちいい様子だ。
早く動けと言われても痛すぎて無理なので、
黒尾先輩の指示通りゆっくり上下した。
「あっ…あ…」
なんだか、私も段々痛みに慣れてきて…
気持ち…いい…かも。
何だか嬉しくて、私から黒尾先輩にキスをする。
「だぁ…。もう少し楽しもうかと思ってたけど、限界。」
グイッと視界が反転して、黒尾先輩に見下ろされる形になる。
誰だ…、黒尾先輩の事を黒猫なんて言った奴は…。
先輩の表情を見下ろして、背筋がゾクゾクとするのを感じた。
猫なんて可愛いものじゃない。
この表情は…肉食獣だ。。。