第11章 自分に素直になる方法
side 皐月 和奏
今日は長かったような、短かったような夜が明けて、外が徐々に明るくなるのを見守って、朝を迎えた。
一晩悩み続けても…何の整理も出来ず、頭の中はグチャグチャなままだった。
お母さんに体調が悪いと伝えると、なんの疑いもなく、学校へ休みの手続きをしてくれる。
普段からある程度の生活態度を保っている事がどれだけ大切か…そんなどうでもいい事を考えてみるけど、気が晴れるわけじゃない。
急に休むと、友達から連絡が来たりするだろうか?
そう思って昨晩から電源を切りっぱなしの携帯に手を伸ばした。
画面が明るくなった画面を確認すると、ずらっと並ぶ木兎さんの名前。
時刻は今朝方まで続いていた。
どうしたらいいのだろう。
自分の気持ちがわからない。
ショックはある。
あれだけ、真摯に好きだと言ってくれた人が、他の人とも関係を持っていたのだ。
でも…怒りはない。
心がどこかで冷め切っているようで…。
そもそも付き合ってもいなかったのだ。
裏切られたなんて表現は、お門違いな気がする。
黒尾先輩の時は…他の人とも関係があるって最初から知っていたのに、もっと自己中心的な怒りを持ってはいなかっただろうか。