第10章 君との向き合い方
side 黒尾 鉄朗
研磨にお説教されて…少しはやる気になった自分が居るけど、やる気を出したところで、昨日の出来事で完璧に嫌われた事実が無くなる訳じゃない。
どうしたものかなぁ。
こんな事にいちいち悩む事自体が…ダサいと思っていた。
ダサい事だからと、悩むくらいなら切り捨ててきた。
今回ばっかりは切り捨てるわけにはいかねぇんだよなぁ。
授業なんてそっちのけだけど、頭はある意味でフル回転だ。
まぁ、回転させても答えに辿り着くとは限らないけど。
どうにも、行き詰まって運動場で体育をしているクラスを窓越しに眺める。
おっ、研磨…。
あいつ、全然ヤル気ねぇな。
指先くらいのサイズに見える幼馴染が、目立たないように上手くサボっているのが目に付く。
研磨のクラスって事は…和奏は…?
探したけど見当たらない。
俺が和奏を見落とすはずがないのに。
[今日、和奏はー?]
机の下に忍ばせた携帯で、研磨にメッセージを送る。
[なんか、体調不良で休みだって…。クロのせいじゃない??]
体育の授業中なのに、この返信の速さ…どうなってんだよ?
研磨はどうやら体育の授業中も携帯を手放さないらしいが、それより最後の一文が引っかかった。
俺の…せい。
昨日の泣いていた和奏を思い出して、研磨の言っている事が正しいと俺に告げている。
そんなに傷付けちまったのかよ。。。
[俺、放課後あいつの家行ってくるわ。]
今日は部活がオフなのが、不幸中の幸いだ。