第9章 恋心の育て方
どうやって、家に帰ったのか全く覚えてない。
今の私の状態を見たら、さっきの先輩達は作戦成功だと大喜びするだろう。
悔しいけど…その通りだ。
[部活終わったー!後で電話していい?]
いつものように木兎さんからメッセージが届いていたけど、返す気になれなくて放置している。
木兎さんは…確かに女慣れしているし、自分でも女遊びが激しい事を認めていた。
でも…と、以前の木兎さんの様子を思い出す。
「俺は今、和奏ちゃんに夢中なの。他の女の子とか、本気でどうでもいいし。」
あの言葉は嘘じゃ無かったと…思う。
じゃあ…あの写真は?
あの言葉は嘘で、初めからからかわれてただけ?
考えれば考えるほど、答えがわからなくなって、ただそこに漠然と木兎さんが他の女の人と寝たという事実があるだけだ。
ブーッブーッと携帯が着信を告げる。
[木兎 光太郎]
ディスプレイに表示された名前に思わず電話を切る。
[今、電話切った?何かあったのか?]
すぐに届くメッセージ。
いつも通りの調子の木兎さん。
私の事を心配してくれている様子に…あの写真が嘘なんじゃないかって気がしてくる。
[木兎さんに聞きたい事があるんです。]
[ん?なにー?何でもどーぞ!]