• テキストサイズ

【ハイキュー!!】君を騙す方法 R18

第9章 恋心の育て方


「悪かった…。」

黒尾先輩はそう言った。
まさか私が泣くと思っていなかったのだろう。

今まで黒尾先輩の前で強がっていた私なら、きっと笑って冗談の一つでも言ったはずだ。

きっと黒尾先輩に面倒な女だと思われた。
いや、黒尾先輩には元々フラれていたんだ。
だから、今更面倒だと思ったところで、今までと何も変わらない。

それに…私は木兎さんと付き合うんだ!

教室に向かう廊下を歩きながら、制服の袖で目元をゴシゴシこすって、涙を無理矢理止める。

忘れよう。
何もなかった事にしよう。
そうじゃないと…木兎さんとどんな顔して会ったらいいのか、わからなくなる。

何もなかった。何もなかった。
何度も心の中で唱えているうちに、段々と落ち着いてきた。

「皐月さん。ちょっと、話があるんだけど。」

教室の前まで行く頃には涙もすっかり止まっていたが、入り口付近の廊下に、見覚えのある集団を見かけて、思わず回れ右をしようかとした所に声を掛けられた。

見覚えがあるのも当然で、以前黒尾先輩と映画を観に行った後に呼び出された先輩達だった。

あの時はほぼ初対面の木兎さんに助けられたんだった。

「私は…特に話す事ないですけど。」

黒尾先輩のフラれてから、何の関わりも無かった人達だ。
まぁ、向こうはフラれた私をいい気味だと笑ったり、木兎さんと一緒に居る私に腹を立てたりしていたようだけど…。

何の用事だろう…?

まさか、黒尾先輩とキスしたのが…バレて…。
いや、それにしては早すぎだろう。
/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp