第9章 恋心の育て方
木兎さんが驚いたように目を見開いた後、少し笑ってそのままキスをした。
そっと触れるだけのようなキスが何度も降り注いで、酸素を求めて口を開くと、待っていたかのように木兎さんの舌が口腔内へ押し進んできた。
ちょっと驚いたけど…黒尾先輩と何度もした事があるし。って、このシチュエーションで黒尾先輩を思い出してる自分に全力で反省した。
クチュクチュ
木兎さんの片手はいつの間にか頬に添えられて居て、私が逃げる事を許さない。
いや、そんな手が無くても逃げる気なんてなかったのだけど…久しぶりのキスの感覚に酔いしれていた。
どれくらいキスが続いてからだろう…。
木兎さんの右手が不意に胸に触れたと思ったら、そのままやわやわと揉まれる。
嫌ではないけど…外なんですけど…。
どうしようと思っている間に、木兎さんの手が先端に到達して、服の上から突起に触れた。
「んぅ…っ。」
キスをしているのに声を漏らしてしまい恥ずかしくてどうにかなりそうだと思った時に、唐突にキスと胸への愛撫が終わった。
「あっ…ごめん。和奏ちゃんとのキスが気持ち良すぎて…マジで暴走しちゃった。ここまでするつもり無かったんだけど。」
本気の反省顔の木兎さんを見て、思わず笑ってしまった。
キスが気持ちいいと言っていただけるなんて、何だか光栄な気分だ。
「外ですし…ね。」
キスや愛撫自体が嫌だった訳じゃないので、やんわりとそれを伝えると、木兎さんが再び驚いた顔をして、私の言葉を飲み込むようにゆっくり微笑んだ。
「もう遅いし、帰ろうか。家の前まで送るよ。」
立ち上がった木兎さんが左手を差し出す。
手を引かれた事はあったけど…繋いだ事はなかったな。
木兎さんの左手に、自分の右手を絡めて立ち上がった。
恋人繋ぎだ。
嬉しそうに微笑む木兎さんを見ながら思った。
ちゃんと付き合おうと、次会ったら伝えようと。
再び、昨日の木兎さんとのキスを思い出して、何だかのぼせ上りそうに顔が熱くなるのを感じた。
その時、図書室のドアがガラッと音を立てたので、思わずビクリと大げさに驚いてしまう。