第8章 君への気持ちを自覚する方法
「んで、図書室で皐月を襲った上にフラれて、部活に大幅に遅れたと…。オレにはサボるなって普段から煩い主将が。」
部活終わりの帰り道で、研磨が無機質な声で聞いてくる。
まぁ…怒るわな。
俺が部活に遅れた事じゃない。
近付くなと言われてたのに、和奏に近付いた上に無理矢理キスした事だ。
「なぁ…研磨。俺さ…。」
和奏の事が好きだと俺に言った研磨には、俺の気持ちもちゃんと伝えなきゃいけないだろう。
この先、どうにもならないとしても。
ケジメってやつだ。
「いいよ。今更、クロが皐月のこと好きだとか、わかりきった事をいちいち言わなくても。」
言おうとした事を全て先に言われて言葉を失う。
「バレてないとでも思った?何年の付き合いだと思ってんのさ。クロが皐月の事気にしてるのなんて、バレバレ。」
ヤバイ。
いつからだ!?
研磨にバレてたと思うと、過去の自分の行動がいちいち恥ずかしくなる。
「言っとくけど、クロが皐月の事フったすぐ後からだよ。ってか、フってから好きだと自覚するとか…マヌケだよねー。皐月とすれ違う度に意味もなくテンション上げて気付いてないフリしたり、かと思ったら、こっちに気付いてない皐月をガン見したり…。」
「だぁー!もうやめてくれー!」
エスパーか!ってツッコミたくなるくらい俺の思考を読み取って話し続ける研磨を無理矢理止める。
マジで幼馴染は侮れねぇ。