第8章 君への気持ちを自覚する方法
数日前に研磨が黒いオーラを発しながら話してきた事を思い出す。
「皐月、最近木兎さんと頻繁に会ってるみたいなんだけど。」
「へぇ。付き合ってんじゃねぇの?研磨、告白もさせて貰えなかったのか。ご愁傷様ー。」
前に校門で見掛けた2人の姿を思い出すと、胸にむしゃくしゃとした違和感を覚える。
俺…やっぱり、あいつの事…。
あの時、チラッと思ったけど、深く考えないように気を付けていた事。
俺、あいつの事が好きなのか…。
「オレは元々長期戦なの。それに木兎さんともまだ付き合ってないらしいし。でも、木兎さんが予想外に本気みたいだから…時間の問題かもね。」
その時の研磨の寂しそうな顔が印象的だった。
「僕は真面目なのでサボったりしませーん。それより、仕事教えろよ。」
見慣れているはずなのに、新鮮な和奏の笑顔にドギマギする。
ちゃんと普通に振舞えているだろうか。
こんなのダサ過ぎるし、俺らしくない。
そもそも俺らしいって…何だよ。
「真面目って…。こっちの本を分類分けして、あっちの棚に仕舞って下さい。真面目な黒尾先輩。」
ケラケラと笑いながら言う和奏。
完全に面白がってやがる。
「ところで、木兎と付き合ってんの?」
別にそんな事知りたくもない。
けど、舐められてたまるかよって、そんな変なプライドから自然と言葉が出ていた。