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【ハイキュー!!】君を騙す方法 R18

第7章 失恋の乗り越え方


「あの…木兎さん、お気持ちは嬉しいんですけど…ここでは目立ち過ぎて…。」

木兎さんの視線が周りに向くように、チラッと周囲を見て促すと、木兎さんはやっと周りの様子に気付いたようで驚いた顔をした。

「わ…。俺は全然平気だけど、和奏ちゃん恥ずかしいよな。ごめん!」

私にガバッと頭を下げると、今度はくるりとギャラリーの方を振り返り、お騒がせしてすいません!と頭を下げている。

「頑張れよー!」
「いい奴だぞー。OKしちゃえー。」

ギャラリーを完全に味方につけてしまっている木兎さんに腕を引かれて、人混みを抜けて、そのまま近くのカフェに入る。

とりあえず2人分の飲み物をオーダーしてから、珍しく気まずそうに話し出す木兎さん。

「ごめんね。俺、周り全然見えてなくて…。」

落ち込んでいる様子が何だか可愛い。
先程までの一連の流れを改めて思い出して、思わず吹き出してしまう。

「もう、木兎さんってなんなんですか?通行人の人たちまであっという間に味方にしちゃって。」

堪えきれずにケラケラ笑うと、木兎さんがやっとお馴染みのニカっとした笑顔に戻る。

「良かったー。和奏ちゃん怒ってなくて。告白で怒らすとか、ヤバすぎるだろ。」

「あれだけ人が集まってるのに、気付かないとか、集中力どうなってるんですか?」

「和奏ちゃんに俺の気持ちわかってもらう事しか考えてなかった。」

こう言う時、急に真剣なトーンになる木兎さんを心底ズルいと思う。
たぶん、恋愛経験と言うものの経験値が圧倒的に違うのだ。

「あの…さっきの話ですが…。」

圧倒的に慣れている木兎さんに、思い通りに喜ばされたり、舞い上がらせられたり…そうやって、どんどん木兎さんの術中にはまって行くんだろう。

「うん。」

木兎さんの纏っているNoと言っても許されるような雰囲気さえ、彼の余裕の表れで、私には勝機が無いと思わせる。
いや、別に勝ち負けでは無いのだけど…。

「木兎さんとは付き合えません。今は…まだ。でも、そのうち黒尾先輩の事なんて綺麗さっぱり忘れて…、その時にまだ木兎さんが今と同じように言ってくれるなら…。」

そんな日が来る予感がしている。

返事の代わりに木兎さんがとびきりいい笑顔で笑ってくれた。
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