第7章 失恋の乗り越え方
「あの…さ。和奏ちゃん、さっきの俺の話聞いてた?」
ずっと聞いては居たが、どの部分のことを言ったいるのだろう。
わからずに首をかしげると、木兎さんが短く息を吐きながら頭を掻いた。
「さっきから、俺に対する反応が変だと思ってたけど…どうせ俺が女遊びしまくってるとか、余計な情報を聞いたんだろ?」
何の話だ…?
全然話の行方が見えずに、さらに首を傾げながら返事をする。
「はい。同じクラスの孤爪君から。」
「あー、もう。本当に余計な事言うニャンコだな!さっきの子達にも言ったけど…俺は今、和奏ちゃんに夢中なの。他の女の子とか、本気でどうでもいいし。意味わかる?」
「女の子達を追い払うための方便かと…。」
「俺、そんな面倒な事考えないよ。思った事しか言わないし。だから、本気で和奏ちゃんさえ居れば他なんてどうでもいいって思ってる。」
真っ直ぐこちらを見てくる木兎さんから視線を外して、周りを見ると、結構な人数が私と木兎さんの様子を伺っている。
そりゃ、街中でこんな話ししてたら…。
しかも木兎さんみたいにただでさえ目立つ人が…。
恥ずかしさに少し俯く。
「ねぇ和奏ちゃん、俺は本気だから。確かに今まで適当に遊んでた事は認めるけど、これからは和奏ちゃん一筋。それに黒尾君よりたくさん笑わせるって約束するから、だから俺の彼女になって欲しい。」
木兎さんからの何度目かの告白。
周りの人達は既にこそこそと様子を伺うのをやめ、堂々と私達を見ている。
中には囃し立てるように声を上げている人までいる。
木兎さん…真剣だったんだ…。
真っ直ぐこちらを見る瞳を見つめ返せば、どれだけ本気か伝わってくる。