第7章 失恋の乗り越え方
「無理。俺、今デート中だから。」
木兎さんが先程までと変わらないテンションでそう答えた。
「デートって…」
そこから先は言わないが、彼女達の視線が「その子と?」と小馬鹿にしている事を物語っている。
「そう。こう見えて、意外とヤキモチ妬きで、和奏ちゃん限定じゃないとスネちゃうからさ。そこも可愛いんだけど。だから、もう遊ばない。」
木兎さんの発言に驚いたり、女の子達から睨まれるのに焦ったりしていてるうちに、どんどん話が進んでいく。
「またそんな冗談言ってるー。」
ケラケラと笑う女の子達の様子を見ると、木兎さんが普段女遊びが激しいと言う孤爪君情報は間違ってないんだろうと思う。
「何笑ってるのかわからないけど、俺は今、和奏ちゃんに夢中だから。和奏ちゃん以外と遊ぶ気とか一切ないから。ってか、デートの邪魔だからそろそろどっか行ってくれる?」
笑われたのがムカついたのか、先程より強めのトーンで言い放つ木兎さんに、女の子達は顔を見合わせて気まずそうに去って行った。
「ごめん。和奏ちゃん。」
くるっとこちらを振り返って謝る木兎さんは、イタズラをしてこれから怒られる事を予感している犬のようだ。
「え?別に…私は謝って貰うような事は…。それに彼女達と遊びたかったなら、行ってくれても良かったんですよ?」
きっと木兎さんが謝っているのは、彼女達が明らかに私を見下していた事。
嫌な気分になったんじゃないかと心配してくれたのだろう。