第7章 失恋の乗り越え方
駅前までの道のりは、隣で賑やかに話す木兎さんの話に笑ったり、相槌を打っていたらすぐだった。
「どこにするかなー?」
木兎さんもこの辺りによく来るらしく、慣れた様子なのでお店選びを完全に任せてしまって、ぐるーっと何の気なしに周りを見渡した。
こうして見ると木兎さんは背が高いので、よく目立っている。
側を通る女の子たちがチラチラと視線をやっているのがわかる。
そう言えば、前に絡まれた黒尾先輩の追っかけの先輩たちも木兎さんの事を知っている風だったし、割と有名人なのかもしれない。
「あれー?光太郎じゃない??」
やけに木兎さんを見ている女の子2人組が居ると観察していると、どうやらお知り合いのようだ。
しかも、ファーストネーム!
「おー!何?この辺で遊んでるの珍しくない?」
やっぱり、相当仲良しなのか、木兎さんもノリノリで返事をしている。
何だか…私だけ気まずい雰囲気だ。
「うん。でも、光太郎に会えたからラッキー!これから一緒に遊ばない?」
どうやら、彼女たちに私の存在は見えていないらしい。
まぁ、木兎さんが彼女達と遊びに行っても、別に私は家に帰るだけだし…。
諦めにも、呆れにも似た感情で木兎さんを見ると、木兎さんもこちらをチラッと見た。
行きたいのなら、どうぞ。と自然と手ぶりで伝える。