第7章 失恋の乗り越え方
「おー!和奏ちゃん、黒髪の方が可愛い!」
木兎さんは開口一番にそう言うと、私の頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。
「褒めてくれても、誰にでも言ってる人にはご褒美ありませんからね。」
木兎さんのあまりにも慣れた様子に、昼間に孤爪君から聞いた女遊び激しい情報を思い出した。
「和奏ちゃん限定だったらご褒美あり!?今から和奏ちゃん限定にする!今後はご褒美もらい放題じゃん!」
相変わらずポジティブな木兎さん。
気持ちに応えられない事を少し申し訳なく思っていたけど、遊びまくっている事の一環という事なら、こちらも遠慮しなくていいだろう。
「はいはい。んで、木兎さんは何しに来たんですか?」
「うわ!ヒデぇ。和奏ちゃんに会いたいから、はるばる音駒まで会いに来たってのに!とりあえず俺、腹ペコだから、腹ごしらえに付き合ってもらう。俺、傷付いたから、和奏ちゃんに拒否権ないから。」
「はーい。何か甘い物食べれるお店がいいです!」
私の返事に、木兎さんがニカっと笑って再び頭を撫でてくる。
「いいね。和奏ちゃんのワガママ。なんか素の和奏ちゃんって感じだな。」
ワガママ言われて、嬉しいなんて…本当に変な人だ。