第7章 失恋の乗り越え方
[着いた!校門のところ!!]
放課後、教室で時間を潰していると携帯にメッセージが届いた。
残っている数人の友人に別れを告げて校舎を後にする。
静かな校舎内とは違って、外では校庭や体育館から部活の掛け声などが聞こえてくる。
日が落ちるまでのこの少しの時間が、私は好きだ。
自然と楽しい気分になってきた。
そんな私の足を地面に縫い止めたのは、前方に見えた黒尾先輩の背中だった。
人違いであって欲しいけど、毎日見つめてきたのだ。
見間違えるはずがない。
けど…黒尾先輩は果たして私に気付くだろうか?
いや、私が黒尾先輩を追い抜いた後ろ姿で…気付くはずがない。
それに、木兎さんと一緒に居るところを見られたところで、何とも思われないだろう。
考えれば考えるほど、虚しくなる。
黒尾先輩の特別になりたかったのに…結局最後まで意識されないままだった。
前方に目をやると黒尾先輩の少し先に、木兎さんがこちらに向かって腕をぶんぶん振っているのが見えた。
大丈夫。
傷付いても、また癒して貰えばいい。
ズルいかもしれないけど…木兎さんの明るさは私にとって救いだった。
よし!っと勝手に気合を入れ直して、小走りに木兎さんの所へ向かう。
黒尾先輩の事は決して振り返らない。
黒尾先輩がこちらを見ていない事実をいちいち確認して、自分を傷付ける必要なんてないから。