第7章 失恋の乗り越え方
たまたま私の机の横を通り過ぎようとしていた孤爪君が、驚いた顔でこちらを見ている。
「覗き見とか…趣味悪いよ。」
「たまたま見えたら、見たことある名前だったから引っかかっただけでしょ。それより、なんで連絡取ってるの?」
「普通にお友達?別に…スパイ行為とかしてないよ。心配しなくてもバレーはルールすらよくわからないし。」
孤爪君と話していると、嫌でも黒尾先輩の事がチラつくので、なるべく早く話しを切り上げたかった。
「別にスパイなんて心配してない。木兎さんは堂々と練習覗きに来るタイプだし。そうじゃなくて…木兎さんって言ったらクロより女遊び激しいでしょ。皐月が遊ばれてるんじゃないかって心配だっただけ。」
木兎さん…女遊び激しいのか。
告白の様子を思い出し、何だか納得する。
そりゃ、あんだけカッコよくて、性格も良ければモテるだろう。
「ご心配なく。私はそんな気持ち全くないし、モテ男にハマって自滅するのはもうこりごりだから。」
これ以上は話す気ないよ。と孤爪君に伝わるような携帯の画面に集中する。
[和奏ちゃん!今日時間ある?部活がオフになったから、放課後迎えに行くから。]
一応、最初こそ疑問形だが、最後の方は決定事項の連絡の様な木兎さんからのメッセージに笑いが漏れる。
教室で携帯見て笑ってる奴とか…ヤバいな。
スグに顔を引き締めて返信を送る。
[わかりました。待ってます。]