第7章 失恋の乗り越え方
「和奏ちゃんがこれ以上泣く必要ないよ。全力出し切ったなら、後悔する必要ない。和奏ちゃんの魅力に気付けないお馬鹿な黒尾君なんてほっとけよ。俺なんて出会って1秒で気付いたのに。」
ふざけてるような、真面目なような、
慰めてるような、ちゃかしてるような、
でも全体的に耳当たりのいい木兎さんの言葉と温かさに包まれる。
やっぱり木兎さんには癒し効果でもあるんだろうか。
「魅力…無かったからフラれたんですけど…。」
「ある!俺が言ってるのに信じられないの?」
この根拠のない…けど、自信に満ち溢れた言葉は麻薬だ。
泣いてる自分が段々馬鹿らしくなってくる。
「木兎さんの期待に答えれるように頑張ります。」
もっと魅力のある女性を目指して頑張るという意味を伝えると…。
「え?俺、脈あり!?俺の方が頑張るし!」
何だか間違って受け取られて…今度こそ笑いが溢れた。
「そう意味じゃありません。」
「え!?違うの!?」
本気でショックを受けてる木兎さんの体を軽く押しすと、冷たい夜風に包まれた。
「もう、泣き止みました。ありがとうございます。」
「おう。本当はもっと抱きしめてたかったけど…和奏ちゃんが泣きっぱなしよりはいいか。」
「下心だらけですね。」
木兎さんに気を許してしまう理由がわかってきた。
欲望も全部口に出してしまう素直さ。
ダメと言った事は絶対にしない素直さ。
素直なことって、こんなに強い事だったのか。