第7章 失恋の乗り越え方
「うぉ!和奏ちゃんの方が先に着いてんじゃん!こんな暗い所で1人で待たせるなんて…もっと全力で走って来たらよかった!」
走って現れた木兎さんに、薄暗い公園自体が明るくなったような錯覚を覚えた。
「もう十分走ってましたよね?というか…すいません。木兎さんのお家近くないですよね?」
「大丈夫!まだ家に帰ってなかったし。ってか、俺が会いたくて無理矢理呼び出したんだろ?」
よいしょと私の座るベンチに腰を下ろす木兎さんに自然と笑みが零れる。
「そうでしたね。」
そんな私の表情を見て、木兎さんが更に笑顔を深めた。
「良かった。和奏ちゃんが笑ってて。俺が昼間余計な事言ったせいで和奏ちゃんが泣いてるなんて…めちゃくちゃ焦った。」
確かに…きっかけは木兎さんの言葉だった。
けど、木兎さんのせいだなんて、これっぽっちも考えた事が無かった。
「いや…木兎さんは焦るような事、何もしてないじゃないですか。」
「でも…俺の言葉がきっかけで黒尾君と…ケンカした?」
この人は何でもお見通しなんだろうか?
それともエスパー!?
もしくは…こうなると予想していて、わざときっかけを与えたか…。
もしそうだとしても、黒尾先輩の答えが変わるわけじゃないし、
伝えると決断したのは自分自身だ。
「ケンカって言うか…フられました。もう会うつもりもないって。」
冗談めかして笑いながら言ったつもりが、自分の意思と反して涙が溢れた。