第5章 ヤキモチの引き出し方
木兎さんの言葉が一々予想外過ぎて反応出来ない。
「昨日見た時は可愛いなぁって気になってただけだったんだけど…さっきの会話聞いて、俄然興味出て来た!黒尾君やめて、俺にしなよ。」
「えっと…あの、すいません。話について行けません。」
目の前のジュースを一気飲みするけど、熱が引かない。
「だから、和奏ちゃんの気持ちにも、魅力にも気付かない鈍い黒尾君なんてやめてさ、俺にしなよ。俺だったら素のままの和奏ちゃんを好きになれる自信がある!」
1つだけ…ハッキリわかっている事があるとすれば、
私の目論見は外れていると言う事。
木兎さんを利用して、黒尾先輩のヤキモチを引き出す目論見だ。
無理だ…。
この人は私が利用とか出来る相手じゃない。
黒尾先輩と同じくらい…いや、それ以上に私の手には負えない人だ。
「からかわないで下さい。」
やっと絞り出せた言葉だ。
笑顔と一緒に出ただけで、満点をあげたい。
十分に間に受けてないと伝わるだろう。
「それ!俺が言うと全部冗談に聞こえるらしいって…だから、冗談じゃない事は態度で示すから。すぐに信じて貰おうなんて思ってないぞ。」
誰が…そんなアドバイスしたんだろう?
昨日一緒に居た赤葦と呼ばれていた男の子の顔が浮かぶ。
「えっと…冗談じゃ無かったとしても、私は黒尾先輩が好きなので…」
もう聞かれてしまっているなら、隠す必要もないし、
私のヤキモチ誘導作戦も失敗確定なので、正直に話すのがいいだろう。