第5章 ヤキモチの引き出し方
そのまま木兎さんに促されて、駅前のファストフード店でドリンクを挟んで向かい合っていた。
…状況を整理したい。
「えっと…木兎さんはなんで音駒に居たんですか?」
目の前の木兎さんは相変わらずニコニコしている。
「なんでって…あっ!和奏ちゃん、連絡先教えて!」
ダメだ…整理されるどころか、益々訳がわからない。
黒尾先輩のヤキモチを引き出すのに、木兎さんを利用出来れば…なんて考えていた私は断る理由もないので、木兎さんと連絡先を交換する。
「で…、なんで音駒に?」
「あぁ。だから、和奏ちゃんの連絡先を聞きに来たんだよ。」
「え…?」
いやいや、動揺しちゃダメだ。
きっと黒尾先輩と同じ分類!軽い人だ!!
「あと、聞きたい事もあったんだけど…」
「聞きたい事…ですか?」
ニコっと笑う木兎さん。
「そう。昨日会った時に思ったんだよ。なんでそんな無理して黒尾君の隣に居るのかなぁって!」
なっ…?
どう言う意味だろ…?
言葉に詰まる。
「でも、さっきの会話でわかったから、もう大丈夫。黒尾君と付き合えれば…って頑張ってるんでしょ?」
「そんなに前から話聞いてたんですか!?」
思わず前のめりになるが、木兎さんに慌てた様子は一切ない。
「だって、どうせ助けるなら最高のタイミングで助けたいじゃん。気になる相手なら特に。」