第5章 ヤキモチの引き出し方
「いえ…バカにはしてません。驚いただけで。えっと…どこに行くんですか?」
忙しいので早くして下さいね。
そう付け加えると、教室内が十分にザワついてしまったので、反省しながらも、先を歩く先輩達に大人しく従う。
そして…校舎裏にたどり着いた所で足を止める。
「呼び出し場所もベタなんですね。」
思わず本音が溢れて、先輩達を無駄にヒートアップさせてしまう。
「ちょっと、黙りなさいよ!昨日、クロとあんたが歩いてるの見たって人が居るんだけど!どう言うつもり?」
どう言うつもりって…。
想定していた質問だったものの余りにも間抜けな言い回しに言葉を失ってしまう。
「ちょっと…何か言いなさいよ!」
黙れと言ったり、喋れと言ったり…。
「えっと…どういうつもりかと言いますと、黒尾先輩とお付き合い出来ればいいなぁと思い、その為に頑張らせて頂いております。」
「だから、それがどういうつもりかって言ってんの!クロは誰のものにもならないのに!」
ヒートアップし過ぎて、話し合える状況じゃない。
先輩達の様子に少し、身の危険も感じ始めた。
こんな時に黒尾先輩が助けに来てくれれば…とか、都合のいい事を考える余裕はまだまだあるのだけど。
「黒尾先輩は誰のものにもならないんですよね?」
「は?そう言ってるでしょ?」
「じゃあ…なんで私は呼び出されてるんでしょうか?黒尾先輩が誰のものにもならないのなら、ほっておけばいいのでは?それとも、先輩方は私が黒尾先輩を独占してしまうんじゃないかと…恐れていらっしゃる…?」