第4章 無関心の装い方
和奏と映画を観た翌日。
部活中だってのに、いらない事ばかり考えてしまう俺。
いや、そもそも別に和奏は彼女でもないから、木兎とどうなろうが、関係ないけど。
あっ、でも木兎と同期間に関係持つのは嫌だな。。。
あんな体力馬鹿と比べられたらたまんねぇ。
まぁ、そんな事になったら、和奏を切って終わりにすりゃいいだけだし。
ってか、あのミミズク頭…。
「おい、なに堂々と偵察に来てんだよ!」
体育館の外に特徴的な頭が見えて、声を掛ける。
普段より少し強めの言い方になったのは…別に八つ当たりじゃねぇ。
それにしても、考えてたところに現れるとか…どんだけタイミングいいんだよ。
「今更、黒尾君のところ偵察に来たってしかたないでしょ!でも、折角だから何本かブロック飛んでよ。」
ったく。木兎には常識ってやつがないのか。
今日は赤葦も居ないし、野放し状態ってわけか。
「折角だから…って、本当に何しに来たんだよ。」
「何って…和奏ちゃんだよ!」
「は?」
予想してなかった木兎の返答に、思わず間抜けな声が漏れた。
「だから、和奏ちゃん!昨日、黒尾くんが連れてた!」
「いや…だから、和奏がどうしたってんだよ?」
全然話が見えない。
「黒尾君が昨日、連絡先交換する暇もくれなかったから、わざわざ聞きに来たんじゃん!別に付き合ってないんだろ…なら、いいよな?」
最後の含みのある言い方は、連絡先の交換についての許可を求めたものじゃない。
俺の好きにしていいよな?
「連絡先の交換にわざわざねぇ。ご苦労なこった。」
木兎はほっておいて練習に戻ろう。
くるっと背を向けると、木兎が珍しく鋭い声を出す。
「まだ、返事聞いてないけど?…いいんだよね?」
はーっと、深くため息が漏れる。
何でこんなにイライラしてるのか、自分でもわかんねぇ。
木兎が欲しいって言うなら、女なんて熨斗付きでくれてやればいいだけなのに。
「煮るなり、焼くなり、お好きにどーぞ。」
これ以上余計な事を言われないように、体育館の戸を閉めた。