第4章 無関心の装い方
「和奏のチョイス、正解だったな。」
映画が終わってから、ポテトとドリンクを挟んで和奏と向き合う。
「ラブストーリーより良かったでしょ?」
「だな。」
デートで使うような格好つけた店じゃなくて、いつものファストフード店。
和奏は不服そうな素振りを見せずに、楽しそうにポテトを口に運んでいる。
こんな店に連れて来るなんて…
無意識だったけど和奏の事を品定めしたのかもしれない。
和奏が自分と同じ感覚で楽しめる奴か。
「ところで…さっきの人達は仲いいんですか?」
さっきの…と言われて、木兎と赤葦が頭をよぎる。
「仲良いってか、ライバル校だよ。一緒に合宿したりするから交流あるだけ。」
「へぇ…。えっと…なんて名前でしたっけ?あの賑やかな人。」
やけにしつこく聞いてくるから、何だか…嫌な気分。
お前は木兎の事なんて知らなくていいの。って、目も耳も塞いでやりたい気分。
せっかく一瞬感じた俺の優越感が台無しにされる。
「木兎?賑やかってか…煩いだけだろ。」
「そう木兎さん!木兎光太郎さんでしたね。」
和奏が何だか嬉しそうな顔をしながらそう言う。
優越感が台無しどころじゃないだろ。
「何ー?もしかして惚れましたかー?」
そんな訳ないって答えて欲しくてした質問。
そんな俺の目論見はあっけなく外れる。
「黒尾先輩には秘密でーす。」
最悪だ。
やっぱり今日木兎なんかと会わなければ…
シラけたのは、今日のデートじゃなくて、俺の気持ちの方だ。
さっきまであんなに楽しかったのに。
「んだよ。せっかく黒尾先輩が協力してやろうかと思ったのに。」
別に最悪なんて思う必要はない。
これだって、ただのゲームなんだから。
自分にそう言い聞かせて、氷だけしか残ってないコップを口に運んだ。