第4章 無関心の装い方
「和奏ちゃんっての?可愛い!俺、木兎 光太郎。」
完全に和奏にロックオンしながら、手を差し出す木兎に、止めに入ろうとするが、和奏が手を取ってしまう方が早かった。
あぁ…あ。捕まってんじゃねぇか。
「これなら何か食いに行かない?」
木兎の腕の中から、こちらに助けを求めて来る和奏。
遊んでるんだから、もう少しかわし方も覚えろよ。
何だか、和奏の事が心配になる。
「おい、木兎。人の縄張りで盛ってんじゃねぇよ。赤葦もしっかりリードで繋いどけよ。」
早く猛禽類から解放してやらないと。
和奏の手を取り、こちらに引き戻す。
「すみません。木兎さんも…誰彼構わず急に誘うのはやめて下さい。」
「誰彼構わずってなんだよー!可愛い子限定だろ!赤葦だって男ばっかりで飯食うより、可愛い子がいた方がいいくせに。むっつりスケベ!」
木兎と赤葦がいつものコントを繰り広げている。
正直邪魔だ。
今日は和奏に楽しいと思ってもらう事を目標にしたのに…
これ以上水を差されちゃ、シラけちまう。
「ってか、和奏は俺と映画を観に行くところなので、ミミズクヘッドはお呼びじゃありませーん。」
和奏の右手を掴んで歩き出した。