第1章 小さな嘘の始め方
そもそものキッカケを思い出してみよう。
私が黒尾先輩に恋したキッカケだ。
あの日、大して…いや、全く興味のなかったバレー部の見学に無理やり誘われた。
見学と言っても、マネージャーの体験入学などではなく、体育館の端で練習しているところを文字通り見学するらしい。
他の女子生徒達も見学に来ているらしいが、馴染めそうな雰囲気じゃないので、ついて来て欲しいと友達に懇願された。
正直、スポーツは観るよりする派の私は、バレー部の練習なんて見学して何が楽しいんだろう?とは思いつつも、
たまたま何の予定もなかったので、友達に付き合うことにした。
帰りに奢ってくれると約束したスタバの効果も大きかった。
バレー部の練習は思ったより人口密度が高かった。
主に見学の女子生徒の。
あー、これは馴染める雰囲気じゃないよなぁ。
女子生徒の群れを横目で確認する。
簡単に言うと…1軍系?いや…女豹系?
パンツを見せる為に履いているようなスカート丈の集団だ。
そっか…男子バレー部って人気なのか。
友達はリベロ…?だか、何だかって先輩が見たいと言っていた。
可愛い系だそうだ。
私は…可愛い系には興味がない。
と言うより、男の人のくせに自分より可愛いなんて…ズル過ぎてどう接したらいいのか、想像もつかない。
今まで彼氏が居たことはないが、背が高くて、男らしくて、優しい人がタイプだ。
高校生にもなって、夢のような事を言っていると笑う友達も居た。
夢見てないで彼氏作れ…と。
実際に過去には告白された経験も人並みにある。
でも、きっと何処かに理想の人が居るはず…と思うと、どうしても踏み切れず…。
こう言う事言ってるから、友達に笑われるんだよねぇ。
あっちでキャーキャー騒いでる集団が羨ましくさえ見えてきた。