第2章 上手な自分の作り方
泣きながら、結構な暴言を残して女の子が店を出て行く。
俺が先に席を立ってもよかったけど…女の子をここに1人で残して行くほど野暮ではない。
「さっ…てと。パスタと映画はどうしますかねぇ。」
ポケットから携帯を取り出しアドレス帳を開く。
[皐月 和奏]
彼女の名前で手が止まる。
外で会ったことは無かった。
来る…だろうか。
その時が楽しめればいいと言い切った彼女は、
俺と食事をしたり、映画を観たりする事を楽しいと思ってくれるだろうか。
そう思った時には発信ボタンを押していた。
「黒尾先輩?電話とか珍しいですね!どうしましたか?」
2コール程で彼女の声が聞こえた。
「突然悪いな。今って時間あるか?一緒に飯食って、映画観れるやつ探してるんだけど。」
少しの無言。
「わかりました。どこに行けばいいですか?」
無言の後に返ってきたのは、嬉しいと思ってるのか、面倒だと思っているのかわからない声。
やっぱり、面白い奴。
手短に店の場所を伝え、電話を切る。
店員に連れが来るから、先ほどオーダーした料理を出すのは少し待って欲しいと伝えると、快く引き受けてくれたので一安心だ。
それから10分程で和奏がやって来た。