第2章 上手な自分の作り方
次の久しぶりのオフは付き合いの長い女の子に、どうしてもと映画に誘われた。
付き合いが長いと言っても、あくまでセフレとして…。
だから、外に遊びに出掛けるのなんて…いつぶりだろう?
たまにはこういうデートごっこも悪くないなんて、
観たいと誘われた映画のチケットを2人分先に購入した。
別に特別な事じゃない。
デートごっこするからには、ちゃんと女の子を立てる。
男の嗜みってやつだ。
そうでなければ、こんなベタベタなラブストーリー…観たいとも思わない。
待ち合わせ時間ピッタリに待ち合わせ場所に向かうと、
向こうは先に待っていた。
「悪い。遅れた?」
「ううん。私が少し早く着いちゃったの。」
お互い与えられた台詞を喋って、
役割を演じあう…
そういう簡単なゲームだ。
研磨に言わせると、クリアが確約されてるゲームは時間の無駄だそうだけど。
「まだ時間あるし…お昼食べに行くだろう?」
別にお互い何も期待してないから、少しくらいミスがあってもゲームオーバーにならないゲーム。
向こうのリクエストで入った店で、オススメだと言うパスタを2人前オーダーした。
「ねぇ、クロ。今日は大切な話があるんだけど…。」
このゲームが終わりを迎えるとしたら、2人に恋人ごっこをする意思が無くなる時だけだろう。
「私達…もう長い付き合いでしょ?そろそろ…ちゃんと付き合わない?」
どちらか一方でもゲームから降りたくなれば、あっけなくゲームオーバー。
「悪いけど、そういうつもりないから。俺に何か期待してるなら、これ以上会うつもりもないし。」
こんなにゲームオーバーになって悔しくないゲームもないだろう。
研磨の言う通り、時間の無駄だなぁ。