第2章 上手な自分の作り方
「なーに怒ってんだよ。俺が遊んでるのなんて、今に始まった話じゃないだろ。それより、研磨はどうなんだよ?結構前に一回だけ見学に来てた子。」
まぁ、研磨が素直に恋愛話をするなんて思ってもいないけど。
「俺、クロの単純さが羨ましいよ。」
聞き捨てならない事を言われた。
俺だって色々考えてるんですー。
研磨は俺の反論なんて聞く気もないのか、ゲームのスイッチを入れた。
そもそも…今更、女の子と真面目に付き合うなんて、
俺に出来るのだろうか。
ゲームの世界に行ってしまった研磨の事は諦めて、
ベッドに身体を鎮める。
中学生の頃、学年でも可愛いと評判の女子に告白されて付き合った事がある。
評判通り、顔も性格も可愛い奴で、
こっちはすぐに夢中になったのを覚えている。
彼女の事を大切にしたいと思っていたから、
手を繋ぐのだって、キスだって慎重だった。
彼女を傷付けてしまわないかって、
いつもハラハラしてたんだ。
「我ながら若いねぇ…。」
思わず口に出すと、何言ってんだ?という表情で研磨がこちらを見たが、
結局何も言わずにゲームの世界に帰っていく。
彼女と別れた原因は、彼女の浮気だった。
いや…俺が浮気相手だったのかもしれないし、
今となっては確かめたいとも思わないが。
彼女は別れ際に言ったのだ。
「だって、鉄朗君…なんか思ってたより重たいし。」
衝撃的だった。
俺が彼女を大切にしたいと思っていた気持ちが、
彼女にとってはただ重たかっただけだという事実が。
浮気されたのがトラウマで、他の人と付き合う気になれない…なんて、ダサい事は言わない。
ただ、相手が俺に勝手なイメージを抱いて、
そんな俺を求めているなら、相手のイメージ通りの俺を適当にやっている方が100倍楽だった。
俺も相手に必要以上を求めるような事はしない。
女の子は可愛くて、柔らかくて、抱き心地がいい。
それだけで俺の欲求は十分に満たされている。
今後、出会えるのだろうか。
俺が本音で向き合いたいと思える相手は…。
まぁ、出会えなくても困る事なんてないだろうけど。