第2章 上手な自分の作り方
研磨の惚れてる相手と言えば、以前一度だけバレー部の練習を見に来ていた。
研磨が普段見向きもしないギャラリーをやたら気にしていたから、探ってみた。
「いや…ただ、同じクラスの子が見に来てただけ。こういうところに来るタイプじゃないから。」
そう答えた研磨を見て、ピーンっと来た。
惚れてるんだな…と。
「どこだよ?」
そう聞くと、めんどくさそうに答えた。
「入り口近くの。髪の毛黒くて、これくらいの長さの…。」
どれどれ…と入り口近くを探すと、居た。
研磨の言う通りの風貌の…なかなか可愛い女の子が、あまり興味無さそうにこちらを見ていた。
研磨はメンクイだったのか。
長い付き合いだが、新発見だ。
その時、山本の打ったスパイクがブロックに弾かれて、その女の子目掛けて飛んで行った。
条件反射と、少しの研磨の惚れてる相手に怪我させる訳には行かないって兄心で、
あと一歩の所でボールを止める。
スグにこちらに駆け寄ってくる研磨。
研磨の男らしい面を勝手に嬉しく感じながら、
兄貴としては、研磨の事を頼んでおかないと…と女の子に挨拶をした。
今となっては、何を喋ったかも覚えて無いが。
近くで見ると、益々可愛いじゃねーか。
研磨のセンスの良さを嬉しく思ったんだ。
そう言えば…それから、あの子は練習を見に来ていない。
名前も聞かなかったけど…研磨の事だから、大して進展もしてないだろう。