第2章 上手な自分の作り方
side 黒尾 鉄朗
あいつは突然、俺の前に現れた。
「こちらも遊び人の黒尾先輩をまさか本気で落とそうなんて思ってませーん。ただ、黒尾先輩に非常に興味があるので、お近付きになりたいんです。損はさせませんよ。」
自信満々にそう微笑んだあいつに、まずは興味がひかれた。
興味?どこに?と研磨に聞かれた時は返答に詰まった。
正直、欲求を解消する為の女の調達に困ることはないし、
普段遊んでいる女達と同じような
短いスカート、
明るい色の髪、
媚びるような化粧
…物珍しさもない。
ただ、損はさせないと笑った笑顔が…
嫌いでは無かった。
連絡を取り始めて、すぐに家に誘う。
普段から遊んでいる癖に、スレてないフリをして、
焦らしてくる女は面倒だが、
あいつは当たり前の様に家に来た。
抱いてみると予想してたより…
正直かなり良かった。
色んな相手と寝て来たので、相性の良し悪しはある程度把握しているが、
これほど相性のいい相手は初めてかもしれないと思わされた。
行為の最中に初めて顔をマジマジと観察したが…
こんな化粧してなくても可愛いだろうなぁ。
なんて、少し勿体無く思っていた。
行為が終わってから、ゆっくり話したいと思わせた。
俺はまだあいつの事を何も知らないから。
なのに、そんな俺の計画をあざ笑うかのように、
ヤル事だけヤって、さっさと帰ってしまった。
猫のように気ままな奴だ。
俺の他にも…遊んでいるんだろうか?
遊びまくっている俺が言えた事ではないが、
そんな事、やめればいいのに…なんて思ってしまう。
こういう気持ちって何て言うんだっけ?
うーん、親…って言うより兄心?
もっと知りたい。とか、
何とかしたやりたい。とか、
もっと飽きるほど抱きたい。とか、
…最後のは兄心ではないな。
とにかく、あいつが…皐月 和奏が気になって仕方がない。