第7章 昏い楽園/真田🚹
こちらに背を向けたままの恋人が、なにをかんがえているのかはわかりようもない。そしていま俺が数日ぶりに彼にたいして発したことばの意味はなんなのだろう。それでもなお声を絞り出し、謝るほかになにができるのか。
「わるかった。気に障ったのだろう。しかしあれはほんの―――
「やめてくれ」
「…すまない」
―――ほんの戯れ言にすぎなかった。
そう否定されてしまえば、まちにとってはなおさら辛いのだと、そのとき、俺は突きつけられた。
俺は先日こういったのだ―――アメリカへ行こうと。
しかし、若いふたりは軽々と、そのことばに打ちのめされてしまった。上空で、自由の女神が鉄槌を振り翳す。あ、とおもえば、もはや両脚はなく、粉微塵にされた残骸には、ただの子どもだけが横たわっていた。
ふたりの幼い男の子が。