第7章 土方の護衛
「副長………副長?おーい、聞こえますか?」
「ぬわわっ!って!てめっごぼぼぼぼぼ」
俺は神崎が超至近距離でいることに
気付き、手を滑らせ一瞬溺れかける。
「プハッ……お、驚かすんじゃねぇ!!」
思わず罵声を浴びせると神崎は
ムスリと怒った顔をする。
「…………怒ることないでしょう。
逆上せたのかと思って声掛けただけなのに。」
「……ぐっ…」
俺が口ごもると神崎は熱くなったのか
風呂の側に座り足だけ浸かる。
「……………別にいいです。
覚えてなくても。」
プイッと怒って顔を背ける神崎。
「…覚えてて欲しかったのか?」
「………………。」
「………俺が、その、お前を抱いた時の事……」
俺が神崎の隣に座るが
神崎は俺から顔を背けたままだ。
「神崎…………。」
俺が名を呼ぶと、神崎は
こちらに顔を向けた。
「………………副長に抱かれた日のことは、
凄く強引だったし、合意してないし
媚薬盛られたし、本当は忘れたいんです。」
最初の一言が俺の人間的な部分を
大打撃させる。
いや本当は申し訳ないと思ってる。
確かに俺は不可抗力の部分が多くて
大方もう1人のせいだが、
それも含めて俺だ。俺の責任だ。
「でも…俺、初めてセックスしたんです。
それで、副長とのセックスはキスも全部、
凄く…気持ちよくて。」
…………気持ちイイのは媚薬も入ってる。
俺のテクの問題じゃない。そうだ。
勘違いしちゃダメだ。俺は神崎を
無理矢理抱いた最低な男なんだから。
「それから夢に出てくるようになって…
副長との行為が
何度もフラッシュバックして……
朝起きると朝勃ちとか夢精とかして…
困ってるんです。だから、
もし、覚えてたらもう1度……」
「……………………。」
そこまで言って、神崎は
言葉を詰まらせる。
神崎の目は涙目で、
顔はあの時みたいに火照って紅く染まっていた
「抱いて欲しくて………。」