第5章 初めての………?
「…はぁ……はぁ…」
澪は息を荒らげて俺にもたれかかる。
「………澪?」
「……はぁ……はぁ………ぎんと…き…」
澪は天井を見上げたまま
ぼーっとしている。
絶頂を迎え意識が覚醒するには
時間がかかりそうだ。
俺は手に残った液体を
トイレットペーパーで拭いて、
澪の服を整える。
「澪、立て……そうにねぇな。」
仕方ない、背負うか。
澪の心音が
背中を通して伝わってくる。
「澪、起きてんなら歩け。」
「んん…せなか………あったかい……」
ダメだこりゃ。会話になってない。
手を洗って厠を出ると、
俺を突き刺す眼光が4つ見えた。
「………銀時テメェ……
澪と連れションか?あぁ?」
「……高杉に起こされて来てみれば
こんな所にいたのか、銀時。」
「ゲッ!…高杉…ヅラ…」
「ヅラじゃない桂だ!」
厠の電気に照らされ、
高杉がニヤニヤとこちらを見る。
口は笑っているのに、目は全く笑っていない。
ヅラはイマイチ状況が掴めてないらしい。
「…ところで、何故
澪を背負っている?」
ヅラが俺の背中を見て眉間にしわをよせる。
ヤバイ。疑われてる。
そりゃあ厠から男おぶって出てきたら
誰でも変だと思うけど。
「何してた?言えよ。言わねーと殺すぞ。」
「いや言っても殺すでしょ!」
「つまり俺に殺されるような事
したってことだなァ?」
「あ、ヤベ………。」
口が滑って高杉の怒りはヒートアップする。
「ん……ぎん……とき…と、しんすけ…?」
そこに俺の背中でむにゃむにゃ
言っていた澪が
頭を起こす。
「………ッ澪。」
高杉は澪を見て、スッと
先程の殺気をひた隠し、優しい顔を見せる。
キモっ!コイツマジでキモいわぁ…
「テメェわざとか聞こえてんぞ」
「澪、どうした?
厠で何かあったのか。」
ヅラが澪に聞くと、
澪は恥ずかしそうに手で顔を隠す。
「ん、ぎんとき…の、
きもち…よかった……。」