【イケシリ】sweet dreams*2【短編集】
第2章 放課後の罠 ーアーサーー
「これ、違うの混ざってるぞ。」
職員室にノートの束を届けると、受け取った先生からファイルを返された。
(アーサーだ。)
隅に名前が書いてあり、原稿用紙のようなものがはさんである。
「まだ校内にいると思うので、返しておきます。」
と真面目に言いつつ、またアーサーのところへいく口実ができて少し嬉しいというのが本音。
普段あまり近寄らない、校舎の端にある図書館へ向かった。
『閉館中』
扉にかかる札はそう書いてあったけれど、多分中で後片付けをしてるはず。
取手に手をかけて、ガラリと開けてみた。
「アーサー、いる?」
「はいはーい?あ、じゃん。どーしたの?」
「これ、提出物に混ざってたよ。」
「ほんとだこれ俺の。わざわざ持ってきてくれるなんて優しー。」
「小説書いてるの?」
「一応、文芸部だしね。」
「どんなお話?」
「気になる?じゃあ、これからそこの返却図書を棚に戻しに行くから作業しながら話してあげるよー。ついてきて。」
私は言われるまま、本を抱えて歩くアーサーの後ろをついていった。