【イケシリ】sweet dreams*2【短編集】
第1章 あなたの色に ーアーサーー
ーそして。
アーサーはキッチンへ向かう廊下をゆっくり歩いていた。
(多分、そろそろ……、あ。出てきた。)
足を止めて、向こうが気づくのを待ってから声をかける。
「、こんばんは。」
「どうも。私、今日は仕事終わって部屋に戻るところなので、何かご用があればセバスチャンに…… 」
目も合わさずに擦れ違おうとするの腕を掴む。
「ねぇ、最近なんでそんなに冷たいの?」
「べ、別にいつも通りですけど。」
「じゃあこっち見てよ。」
の顔がみるみる赤くなる。
「無理です!こんな至近距離で……!」
「ねぇ、ツンデレ目指してみたの?」
小さな声で聞いてみると、今度は驚いた顔でアーサーを見た。
アーサーはその反応に満足したようににこっと笑う。
「続きは俺の部屋で、ゆっくり話そうよ。」
そう言って掴んだままの腕を離さず、ぐいぐいと歩き出した。
「え、ちょっと……!」
…………
半ば無理やり連れてこられたは、扉の側に立ったまま黙っている。
「座れば?」
ベッドに腰掛けてぽんぽんと隣を叩かれても、その通りにできるわけもなく、そして相手には自分の行動を見透かされていて、不安と羞恥と少しの期待がない交ぜになっては逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
いたたまれずに、視線を彷徨わせているとアーサーが言った。
「あ、今日はあの子出かけてるみたいだから、いないよ。気まぐれだからねー。
今ここには、ふたりきり。安心して。」
ベッドから立ち上がり、ゆっくりとに近づいて行く。
「そういう意味じゃないよ……。あの、話って……?」
「最近、変だよね?だから君の様子がおかしい理由を推理してみた。聞いてくれる?
まず、俺への態度が変わったのは、この前俺のペットを見た日くらいからということ。
その時の会話で俺がツンデレが好きだと言ったこと。
それは覚えてる?」
「うん……。」