第3章 友情か
突然脱衣室のドアが開き、中からひょっこりと佐久間さんが顔を出した。
「バスタオル借りてもいい?」
「あっ…今、用意しますね。」
そう応え、脱衣室の中へ入ろうとドアに手を掛けた。
しかし、佐久間さんはドアが開かないよう、中から両手で強く押さえている。
「ごめん…もう服脱いじゃってさ。上だけだけど。」
佐久間さんは申し訳なさそうにそう言った。
「分かりました。出しておきますよ。」
少し恥ずかしそうにはにかむ佐久間さんが面白く、私は思わず声を出して笑ってしまった。
「そんなに笑わないでよ。」
「すみません。でも、面白いです。」
二人で顔を見合せて笑い合う。
とても穏やかで、そして優しい気持ちになる。
「じゃあ、一度閉めますね。
シャワーを浴びている間にバスタオルを出しておきますから。」
そう言って脱衣室のドアを閉めようとした時、佐久間さんは突然真剣な表情を浮かべた。
「昨日さ、何もしてないから。」
「え?」
「セックス。」