第29章 番外編
カーテンの隙間から差し込む眩しい朝日に目を細めた。
寝具に顔を埋めながら眠る美波の頬をそっと撫でる。
一体どんな夢を見ているのだろう。
気持ち良さそうな寝顔がとても愛おしい。
ベッドから起き上がり、クローゼットの中から小さな箱を取り出した。
音を立てぬよう、白いリボンを解いていく。
水色の箱を開け、中の指輪を手に取った。
ベタだとは思ったが、普段アクセサリーを身に着ける事があまり無い美波には、このくらい“分かりやすい”方が良いだろう。
その指輪を、美波の左手の薬指にはめる。
輝くダイヤモンドを見つめながら、美波の寝息を聴いた。
目を覚ましたらどんな反応をするだろう。
恥ずかしそうに微笑む美波の姿を思い浮かべた。
2021年5月6日
偶然にも、今日は俺の46回目の誕生日だった。
【バースデー】おわり