第3章 友情か
「そんな事分かってますよ!!」
思わず声が上ずる。
そんな私を見て、佐久間さんは満面の笑みを浮かべた。
「先生ってお酒弱いんだね。」
「…実はあんまり飲んだ事がないんです。」
「そうだろうと思ったよ。すぐ眠っちゃったし。」
「…あの、昨日はありがとうございました。」
「何の事?」
「食器…洗って下さって。グリルまで。」
「いつもご馳走になってるから。
それに、これくらいは家でもやってるから。」
「綺麗好き…なんですね。」
「いや、一人暮らしが長いだけだよ。」
脱衣室のドアから顔だけをのぞかせ、ふふっと笑う佐久間さんが何だか可愛いく思えた。
それと同時に“一人暮らし”という言葉に、なぜか胸がトクンと優しく波打つ。
また1つ、佐久間さんの事を知る。
一人暮らしという事は、少なくとも既婚者ではないのだろう。