第3章 友情か
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シャワーを浴び、リビングへ戻って来るといつもの“定位置”に佐久間さんが座っていた。
「おはよう。
…おはようって時間じゃないけど。」
眠そうにまぶたを擦りながら、膝にクッションを抱えている。
佐久間さんの言う通り“おはよう”と言うよりは“こんにちは”と言った方が正しいかもしれない。
午前10時。
こんな時間まで眠っていたのは久しぶりだった。
そんな事よりも、昨日の夜の事を確かめなければ。
いや、確かめるというよりは確認だ。
私が眠った後、洗い物をし、キッチンを片付けてくれた佐久間さん。
“何もなかった”事くらいは分かっていた。
「昨日…」
そう言い掛けた瞬間、佐久間さんは私の顔を見ながらフッと笑った。
一体何がおかしいのだろう。
戸惑う私の顔を、佐久間さんはまじまじと見つめる。
早く昨日の事を聞かなければ…。
そう思うが、佐久間さんの不可解な笑いにただ困惑するばかりだ。