第3章 友情か
もし仮に“間違い”があったのならば、ゴミ箱の中には使用済みの避妊具が捨ててあるだろうと思った。
物音を立てぬよう、ゴミ箱の中を漁る。
しかし、それらしい物は見付からない。
という事は、ただ隣で眠っていただけなのだろうか。
それを証明するように、服には一切乱れがない。
ストッキングですら身に付けたままだ。
私は佐久間さんを起こさぬよう、そっと掛け布団をめくった。
白いTシャツに黒のズボン。
チラリと見えたベルトは、きちんと留め具へと通されていた。
しかし、こんな状況で“何もなかった”などあり得るのだろうか。
男と女が同じベッドで眠り、“何もなかった”など。
様々な憶測が、重い頭に浮かんでは消える。
私は一体何をしているのだろう。
こんな事、今までの私の人生には起こりえなかった事だ。