第3章 友情か
ふと、私はある違和感に気付く。
横向きでベッドに眠る私の背後から聞こえてくるかすかな音。
それは、すうすうと気持ち良さそうに眠る寝息の音だ。
よく考えてみれば、私はどうしてこんなにもベッドの端で壁を向きながら眠っているのか。
狭い狭いシングルベッドの上。
亮太と二人で眠っていた時にも、朝目が覚めるとこんな格好をしていた事を思い出した。
恐る恐る私は寝返りをうち、背後を向いた。
その瞬間、隣で気持ち良さそうに眠る佐久間さんの顔が目に飛び込んできた。
あまりにも近いその距離に、胸をきつく締め付けられるような感覚に襲われる。
徐々に息が苦しくなっていく。
一体昨日の夜に何があったのだろう。
私達はこんなふうに同じベッドで眠るような仲ではない。
昨日はたまたまお酒を飲んだだけであって、普段はただ食事をするだけの仲。
しかも会ったのは2ヶ月振りだ。
まさか、お酒の勢いで何か“間違い”があったのだろうか…。
そんなはずはないと、私は思わず飛び起き、ベッドの近くにあったゴミ箱の中を確認した。