第3章 友情か
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激しい喉の渇きで目が覚めた。
頭は重く、身体はだるい。
寝室のベッドの上、カーテンの隙間から差し込む光が眩しい。
一体今は何時なのだろうか。
窮屈なワイシャツのボタンを外し、深呼吸をした。
昨日はシャワーも浴びずに寝てしまったのだろう。
“化粧を落とさずに寝ると、10日肌が老けるんだよ”
そう笑いながら話す愛美先生を思い出す。
あんなにも笑ったのは久しぶりだった。
お酒を飲み、とても気分が良かった。
昨日みたいな日が続けば、きっと“生きる事を止めたくなる日”も無くなるのだろうか…。
昨日のような毎日が続けば…。
…昨日。
「…佐久間さん?」
昨日は佐久間さんがここへ来たはずだ。
ドアの前、初めて会った日と同じようにうずくまって眠る佐久間さんに会った。
出張土産である『のどぐろ』を受け取り、お酒を酌み交わした。
記憶は曖昧だが、確かに昨日は佐久間さんがここに来ていた。