第3章 友情か
「そんな怖い顔しないで。」
「…すみません。」
「やだ、謝らないでよ。」
「私が…彼女にタバコを吸うように勧めたんです。」
「そんな風には見えなかったけど。」
「私が彼女に強要したんです。」
“そんな風には見えなかった”と言われても、ここは押し通すしかない。
まだ始まったばかりの彼女の人生。
そんな価値ある人生を、こんな事でつまづかせてはいけない。
彼女は私とは違う。
彼女は…毎日を惰性で生きている私なんかとは違うのだ。
「安心して。
誰かに告げ口する気なんてないから。」
そう言うと、愛美先生はニコリと微笑んだ。
一体何がしたいのだろう。
私の弱みでも握ったつもりでいるのだろうか。
正直、愛美先生のプライベートな部分など全く知らない。
“優しい保健室の先生”の裏の顔はただの“腹黒い女”なのかもしれない…。
そんな妄想をし、戸惑う私に愛美先生は楽しそうに笑った。
「その変わり、今日はちょっと付き合ってよ。」